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2.論文集集成など

 

『アイヌ語考』 (全5巻) ゆまに書房編集部 2001年

アイヌ語に関する基本文献がほぼ網羅されている、驚異的なアンソロジー。「ほぼ」というところがくせもので、実はアイヌ語の論文・テキストなどは私家版や小部数の冊子・報告集などの形態をとることが多く、この集成も「全て」ではありません。とはいえ集成としては実質上決定版といえます。言語関連の講座を開設していながらこの論集を収蔵していない大学があったら図書館にいますぐ購入を求めましょう。リプリントのため、若干印刷が不鮮明。オリジナルも入手不可ではないので、自分でコピーをとったほうがきれいかも。

 

『The Ainu Library』 (既刊25巻。以下続刊予定)  K.Refsing 監修

静内地方を中心にフィールドワークをしていた日本学・アイヌ語学者 Kirsten Refsing が監修した欧文文献の集成シリーズ。アイヌ語関連資料をあつめている大学図書館ならこのシリーズもあるはずです。
 
言語編第1期
 Early European Writings of the Ainu Language vol 1-10. Curzon Press Ltd, 1996
(アイヌ語 ヨーロッパ初期文献復刻集成 全10巻)1996年
現在品切れです。セットだと20万円近くするうえ分売しませんので、個人で買われた方は少ないでしょう。大きな図書館や大学図書館にあたってみてください。欧文ですから一般向けとはいえませんが、貴重な文献に簡単にアクセスできます。何よりヨーロッパ側が採録した最初期のアイヌ語資料が収録されています。なお、第10巻のBronislaw PILSUDSKI, Bronislaw Materials for the Study of the Ainu Language and Folklore, Cracow, 1912はサハリンのアイヌ口承文学の基本文献です。テキストの日本語訳(英文から)は知里真志保著作集にあります。また『創造の世界』(小学館)という季刊雑誌に1983年〜1993年まで翻訳(原文から)・研究が連載されていました。
 
言語編第2期
 Origins of the Ainu Language: The Indo-European Controversy vol 1-5. Curzon Press Ltd,1998
(印欧語系説をめぐる論文集成 全5巻)1998年
ヨーロッパ言語学界における「アイヌ語の印欧語族仮説」をめぐる論文を多数収録しています。現在ではアイヌ語を印欧語系統と考える研究者は少ないので、いわばアイヌ語学史的なテーマです。アイヌ語と日本語の同系説などに惹かれる方は、こちらを他山の石とされてはいかがでしょうか。
 
文化編第1期
 Early European Writings on Ainu Culture: Pt.1 Travelogues and General Descriptions, vol 1-5, Curzon Press Ltd. 2000
(アイヌ文化篇1 紀行文とアイヌ文化 全5巻)2000年
19世紀から20世紀にかけて、ヨーロッパの宣教師・旅行者・人類学者らの紀行文・民族誌などです。すでに翻訳があるものもありますが、原文が確認できるのは貴重です。なお、言語資料については第1期に収録されています。
 
文化編第2期
 Early European Writing on Ainu Culture: Pt. 2 Religion and Folklore  vol 1-5. Curzon Press Ltd,2002
(アイヌ文化編2 アイヌの宗教と民間伝承 全5巻) 2002年
宗教や儀礼に関する初期の研究論文などですが、第4巻にはアイヌの口承文学(英訳)も含まれています。
 
なお、文化編第3期は民具編(全5巻)で2005年刊行の予定だそうです。

 

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