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15.言語、地名
(1)アイヌ語地名
アイヌ語地名の研究は山田秀三(やまだ ひでぞう)、知里真志保につきる、という部分があります。特に山田秀三は徹底した現場主義で、ひたすら現地を歩き続けました。彼が打ち立てた方法論は現在でも踏襲され、思索だけの地名「研究」は研究とみなされません。
山田秀三 『北海道の地名』 (アイヌ語地名の研究 別巻) 草風館 2000年。入手可。定価6000円+税。山田秀三のアイヌ語関連著作のうちでも辞書として使いやすい良書。北海道全域が扱われていて便利。旧版は北海道新聞社1984刊。
知里真志保 『地名アイヌ語小辞典』 北海道出版企画センター 入手可。税込定価1020円。アイヌ語地名研究の必携書。山田秀三の『北海道の地名』が個々の地名の語源を論じているのに対して、こちらは地名に用いられるアイヌ語そのものの解説。彼の説を再検討する、というのが最新の研究動向ですが、そう簡単にひっくり返せるものでもありません。
(2)アイヌ語
田村すゞ子 「アイヌ語」 『言語学大辞典』所収 三省堂。単行本ではなく、本体の『言語学大辞典 第1巻 世界言語編 上 あ〜こ』の項目です。この辞典は第1巻だけで税込み価格43835円です。亀井孝 他『言語学大辞典セレクション 日本列島の言語』(1997年。入手可。税込価格5250円)にも収録されていますが、あまり店頭では見かけません。著者はアイヌ語研究の第一人者です。アイヌ語の文法書としては一般に入手できるおそらく唯一のものであり、また信頼できます。沙流方言を中心として、他の諸方言にもふれています。
中川裕・中本ムツ子 『エクスプレス アイヌ語』 白水社 1997年。入手可。税込価格2520円。同社の語学入門書「エクスプレス」シリーズ。CD付きなので正しい発音も学べます。著者はアイヌ語を専門とする言語学者(中川裕)とアイヌ語話者(中本ムツ子)の組合せで、信頼できる入門書です。千歳方言を扱っていますが、沙流方言とほとんど同じです。