参考写真 その2
「苺」編
「もっぱら肉食であるが、時たま、家で食事をしたり、酒盛りをしたりするときだけは、肉と魚に満州ニンニクや苺を添える」
(村上春樹『1Q84』p464より)
「もっぱら肉食」というより「もっぱら魚食」というべきだと思うのですが……。まあそれはともかく写真をどうぞ。
確かにサケのステーキの右上に添えられています。刻んだネギを塩水に浸したソースです。文中の「満州ニンニク」というのはおそらくギョウジャニンニクのことでしょう。ニヴフ語(ギリヤーク語)では「タンヴン」と呼びます。北海道で生えているのと同じです。写真のように、最近ではネギもよく使われます。
文中の「苺」ってのはこれです。早い話がブルーべリーの仲間ですね。いわゆる高山植物のコケモモとかガンコウランの実です。サハリンでは海辺や平地・丘に普通に生えています。ロシア語で「ヤガダ」、ニヴフ語(ギリヤーク語)で「アルシュ」と総称します。訳語の「苺」とはちょっと感じが違います。ニヴフ伝統料理では、確かに魚や肉と同時に食べます。写真はコケモモです。保存が利くのでチェーホフが見たのは多分これです。
分かりにくい写真ですみません。キイチゴ(ホロムイイチゴ)です。これなんかは「苺」でもいいかもしれません。あまり保存が利かないので食べられる期間は短いですね。チェーホフが見たのは多分これではないでしょう。写真は砂糖と混ぜてあります(火は通してありません)
新鮮な魚の身や白子とあえることもあります。写真はガンコウランとホロムイイチゴを魚の白子とあえたものです。実が多ければおかずのようにメインとして、ベリーが多ければメインのあとにデザートとして食べます。写真はデザートですね。