音素

 

母音

 

 中

後 

狭 

i

y 

u 

広 

e

a 

o 

y はいわゆるシュワーよりも日本語の「ウ」に近い。母音に長短の対立はない。

 

子音

 

唇音

歯茎音

硬口蓋音 

軟口蓋音 

口蓋垂音

声門音

有気破裂音

p'

t' 

c'

k' 

q'

 

無声破裂音

p 

t 

c 

k 

q 

 

無声摩擦音

f 

r'   s 

 

x 

X

 

有声摩擦音

v

r    z

 

γ

R

 

鼻音

m

n

n'

η

 

 

接近音

w

 

j

 

 

h

側音

 

l

 

 

 

 

破裂音には有気/無気の対立がある。無声破裂音は環境によって有声化する。有声化規則には方言によって若干の差異がある。一般に用いられている書記法はノグリキ方言の有声化規則を反映している。おもに母音間および鼻音・有声音の直前で有声化する。チルウンヴド方言では、鼻音の直前で有声化しない。旧日本領南樺太のニヴフ語の有声化規則はチルウンヴド方言とほぼ同じである。

摩擦音には有声/無声の対立がある。ノグリキ方言では語中において破裂音と同様に有声化する。

例: 「子ども」 eXlη(チルウンヴド方言) eRlη(ノグリキ方言) 

語頭の両唇摩擦音 v は摩擦が弱まって接近音 w として発音されることがある。この傾向はチルウンヴド〜ポロナイスクにかけて強いようである。旧日本領樺太のニヴフ語資料でも接近音として表記されている。ただし語中では逆に b になることがある。

軟口蓋摩擦音と口蓋垂摩擦音は調音点が近く、区別し難いことが多い。

無声破裂音 q は先行する母音を広くし、さらにその前の子音を口蓋化する傾向がある。

例: k'eq 「キツネ」は k'jeaq のように発音される。

 

音節構造: 最大で CCVCCC の構造を持つ。

アクセント: 原則として語頭アクセント。